2020年9月号 訪問ナースステーション・光華

 


こんにちは。訪問ナースステーション・光華 日下です。

口腔ケアは誤嚥性肺炎や認知症予防に効く?!


口腔ケアといえば、虫歯や歯周病、口臭予防が一番に思い浮かぶと思いますし実際毎日行っていると思います。しかし、口腔ケアの期待できる効果はそれだけではありません。今回は口腔ケアについてお話ししたいと思います。


①誤嚥性肺炎の予防

高齢者に多い誤嚥性肺炎は、食べ物や飲み物、唾液が食道を通過せず誤って気管から肺に入り込んでしまう“誤嚥”の際に口腔内の細菌が肺に入ってしまうことで起こります。

口腔ケアで口腔内の細菌を減らすことで誤嚥性肺炎の発生率を下げる効果が期待できます。


②唾液の分泌

要介護の方の多くが口の機能が低下し、内服薬の副作用などにより唾液が出にくくなり口腔内が乾燥しがちです。また唾液が口の中をきれいに保つ自浄作用も低下しています。

口腔ケアでお口の中を刺激することで唾液が出やすくなります。

 

③味覚の改善

舌に厚く舌苔が付着したり、口腔乾燥が進むと味覚が鈍くなってしまいます。舌ブラシ、口腔ケア用ティッシュなどを使用して舌をきれいにし、口腔内が潤ってくると味覚の改善効果があります。

 

④認知症の予防

歯がほとんどなく入れ歯を使用していない人は20本以上歯が残っている人に比べて1.9倍、あまり噛めていない人は何でも良く噛める人に比べて1.5倍、認知症になる確率が高くなるというデータがあります。

歯を大切にする口腔ケアで歯を失わないようにしていきましょう。

 

⑤心疾患や糖尿病の予防

歯周病菌が血中に入り込むことで心内膜炎、心筋梗塞や狭心症など心疾患を引き起こすリスクが高まると言われています。

歯周病が悪化すると糖尿病も悪化する相関関係もあります。口腔ケアで歯周病菌を減らしていきましょう。

 

⑥インフルエンザの予防

口は食べ物の入り口だけでなく、細菌やウイルスの入り口にもなります。

ある介護施設で高齢者を対象に、歯科医師や歯科衛生士が専門的な口腔ケア(口腔清掃や清掃の指導)を実施したところ、通常の口腔清掃だけをしていた施設に比べ、予防接種の有無にかかわらずインフルエンザの発症が10分の1に抑えられた、という報告があります。

 

このように口腔ケアは虫歯や歯周病予防だけでなく、誤嚥性肺炎の予防や、全身の健康を守るためにとても大切です。ただの歯磨きを、今までよりも少しだけ意識して行ってみてはいかがでしょうか。

 

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